鬼嫁入院日誌出産編

2月11日(月)

 朝6:50頃、生理痛のような鈍く重苦しい感じの腹痛で目が覚めた。痛みが治まってトイレに行くと、鮮やかな赤い色の出血。切迫早産騒ぎの朝を思い出したけれど、今日は37週0日で、今日以降いつお産になっても大丈夫と言っていた先生の言葉を思い出して、「もしかして、これが“おしるし”なるものかしらん?」と思った。

 7時、いつものようにたけぞうさんに電話をして、「今日、入院するかも」なんて話をちょっとしておいた。

 朝御飯を食べながら、「血が出た」と母に報告すると、父が「大丈夫なの?」と実に心配そうに聞く。母は「間近なんでしょ」とさらっと答える。でも、取り敢えず病院に電話をしてみなさいというので、10時過ぎに電話をして様子を伝えると、入院の準備をして来てくださいと言われ、診察後、入院することになった。入院してすぐ、お昼御飯。まるで狙って来たみたい(笑)。どうなんのかなーと思っていたら、いきなり、縛ってある糸を抜くことになり、今回は麻酔もなしで、あっという間に終了。その後、同室の予定日が1日違いという人とおしゃべりしまくり。たまーに軽い生理痛みたいなお腹と腰の痛みはあるけど、今日はたぶん生まれそうにないなぁ。明日に備えて、夕食をしっかり食べ(てんぷら。おいしかった!)、まだ9時だけど、おやすみなさ〜い。明日が楽しみ。

2月12日(火)

 昨日、余裕をかまして、「明日が楽しみ」なんて書いてた1時間半後、私は15〜20分間隔の陣痛に悩まされていた。たぶん、これが陣痛だろうなという痛み。でも、少しお腹をさするとすぐに治まる程度だった。

 それが。だんだんと強く長くなるじゃないか!間隔も10分くらい。“これだ!”と思いナースコール。内診の後、「うん、まだ2,3cmだな。これが、2,3分の間隔になって痛みも強くなったらナースコールして」とのこと。ふうん、そんなもんか。その時はまだ心配してくれる同室の人と会話する余裕もあった。

 しかし。その後、6〜7分、4〜5分となるにつれて、「うごー!!!」と叫びたくなるような痛み。特に腰。もう砕けるんじゃないかってくらい痛い。早く2,3分になれ〜と念じつつ、痛みと格闘しつつ、時計とにらめっこ。もう、息も絶え絶え、同室の人の「大丈夫?」「頑張れ」の声に反応する余裕もない。彼女、夜中の3時頃だってゆうのに起きててくれたのに、というか、うるさくて眠れなかったに違いない。

 ようやく、「よし、2分!!」とナースコールするも、「まだだねー」。ああ、もう助けてくれい!!って感じなのに。ひたすら半泣きでヒーヒーフーフー言いながら腰を押す。腹をさする。なるほど、ここで誰か手伝ってくれたり励ましてくれると、それはいいだろうなと、ちょっとだけ思った。

 そうこうしているうちに夜が明け、6時の検温の時間。そこで、あまりに犬の息になってる私に気づいたナースが、様子を見に来て、慌てて車椅子を持ってくる。もうなんか、思考力ゼロになってる私は、訳も分からん状態で、それに乗せられ分娩室に6時半頃入った。

 ナースが内診で「これ、もうお産になるよ」と慌てて担当の助産婦さんに連絡して来てもらうとかなんとかしている。おいおい、大丈夫なのか?と思いつつ、こっちはもうそれどころではなく、ナースに呼吸を導かれて深呼吸にすることで精一杯。「それじゃ、赤ちゃんに酸素が行かないよ、苦しいよ」と言われて、必死で、心の中で「フレーフレーよ・う・こ」などと唱えつつ呼吸をするだけ。そうこうしてると、助産婦さんが到着し、着替える、着替える暇なんてないとか、つまらないやり取りをナースとしている。ああ冗談じゃないよ。こっちはもう限界なんだ!いきなりの切迫状況、しかも早朝で、みんなちょっと焦ってたのだろうと思う。でも、さすがにそんなそぶりは見せない。もうダメって感じの私に、「毛を剃るから動かないで」なんて、こっちは激痛に悶え苦しんでんのに、ムチャゆーなよっ!!と思いつつも、冷静なナースの声に、ちょっと我に返って「頑張んなきゃ」と思う。でも、そんなの、入院してすぐ剃っとけよ!って思ったけど(笑)。

 先生も来て、いよいよ。助産婦さんは、相変わらず私なんて目に入ってないみたいに、後ろ向きで手を洗ったりしながら、「痛くなったら、いきんでいいよ」なんて、さらっと言う。そんなこと言ったって、どーすりゃいいのさ!と思いつつ、痛くなったら踏ん張る。まるで、1週間くらい便秘してた、その便を下剤なしで自力で出す時みたいだ。って、私はそんな経験ないけど。

 最初は全然コツが分からなくて、肛門が出るばかりに感じたけど、2回目くらいから、何となく分かってきた。でも、とにかく痛くて頑張り切れない。「頭見えてるよ」「出てきたよ」とか言われながら、「うー、もうダメだ。ここでギブアップされてくれい!」「もう一度お腹の中に戻してくれい!」と何度も思ったけど、たぶん5回か6回かいきんだら生まれてきたんだと思う。分娩台に載って1時間掛からなかったから、きっと安産だったんだろう。だぶん。でも、しっかり切開されたし、縫ったとこ、今もメチャメチャ痛くて座れないし、とにかく苦しかった。痛かった。でも、一息付いて病室に帰る前に、赤ちゃんを抱かせてもらった時には、涙が止まらなかった。なぜだかよく分からないけれど(生まれてすぐの時にも抱かせてもらったのだが、その時は放心してて、何かよく分からなかった。あ、赤ちゃんだ、と思っただけ)。

 私も赤ちゃんも、頑張りました。ようこそ!外の人になったびくさん!!2902グラムの元気な男の子。私達の宝物。これからよろしくね。

2月13日(水)

 同室の3人の赤ちゃん達は、実におとなしい。よって、今日は朝までぐっすり眠れた。何せ、昨日は一睡もしていなかったのだからねぇ。

 目覚めると、やはり切開の傷が痛い。診察してくれた看護婦さんもお医者さんも、一言「痛そうだねぇ…」。どうなんなっちゃってんだ?と、とても心配になる。ううう。ホントに痛いんだよう。

 3時過ぎ、たけぞうさん現わる。みなさんの掲示板への書き込みを見せてもらう。ありがとうございますホントに(涙)。とても嬉しくなる。その後、HPにアップしてある写真を見ながら、名前を考える。採集候補3つから選ぶのが、どうにも難しくって。悩む悩む。どれも捨て難い。いっそ、3つ子なら良かったのに…。冗談。とても3人もいっぺんになんて産めませんて。

 そうこうしてると、母と妹がジェラートをお土産に現わる。バーゲンの帰りだと言う。で、揃って新生児室に移った外の人びくさんに会いに行く。でも、まだガラス越しに見るだけ。寝てる。ひたすら寝てる。でもやたらによく動く。これだ。私の腹が踊ってくれていた原因はこれだ、と思った。何やら表情も豊か。寝てんのに。乳を吸うような口をしたり、招き猫みたいな顔をしたり、かと思うと片口でニヒルな笑いをかましたり、田中邦衛を思わせるビミョーな表情をしたりする。飽きない、面白い!!ガラス越しに写真をバシバシ撮る。

 部屋に戻って、たけぞうさんとまた名前に悩む。途中、「debuya大盛りの美学 まいう〜D級グルメガイド」を見たりして垂涎。何やってんだ!!

 6時になって、食事なのでたけぞうさんは外に出て写真の現像がてら御飯を食べに行って、下でバッタリ美和子さん(おばちゃん)と一緒になったと言って2人で連れ立って部屋に戻ってきた。お花をいただいた。殺風景な病室だから、スゴク嬉しかった!

 また新生児室に行って、懲りずにびくさんを見る。寝てる。ひたすら寝てる。今度は表情を変えずにぐっすり。隣りの子達が大泣きしてもぐっすり。大物の風格で殿様のようだねと話し合う。既に親馬鹿じゃん!

 しばし、たけぞうさんの赤ん坊の頃の話(デブだったとか)、どんな服を着せるかなどを話し手、お2人は帰宅。私は、同室のママ達に、明日からの母子同室生活がいかにしんどいかという話を聞いたり、お互いのつわりや出産の話をしたりして楽しいおしゃべり。

 やっぱり個室にしなくて良かった〜。ああ、話をするきっかけに、今日母が差し入れてくれたジェラートをおすそ分け。母乳をあげているママ達は、夜中もお腹がスゴク空くんだって。私にはまだ分からないけれど、明日からは仲間入り。大変らしいけど頑張ろう!

 という訳で、明日からに備えて、今日はまだ9時だけど、おやすみ〜。

2月14日(木)

 今日からびくさんが来る。珍しく緊張してお腹が痛い。

 9時に新生児室に迎えに行き、その後、おむつの取り替え方と授乳の指導を受ける。乳は少しも、1滴たりとも出ない。泣。この役立たずのおっぱいめ!先輩ママ達に、そのうち出るようになるよと慰められる。おむつ替えも、抱くのすら超コワゴワ。だって、初めてなんだもん。それなのに、看護婦さん(関西人)、やたらコワイ。厳しい。

 部屋に戻って寝かせるけど、すぐ泣く。何が悪いんだろう?寝かせ方か?寒いのか暑いのか、何が何だかさっぱり分からなくて、こっちが泣きたい。12時過ぎに、あまり泣くのでおむつを見ると、おしっこ。大泣きされながらも(おむつを逆に当てたりしながらも。笑)、何とか替える。間もなく、また大泣き。おならしたからうんちか?と思うとその通り。おしりを拭いてるそばから、ブリブリっと更にうんち。しかも、ぴょーっとおしっこまでしてくれる。これだから男の子は参るよ。上に飛ばすんだもん。その後も、指をしゃぶってぐずるので、そそくさと昼食をかき込んで授乳室へ。さっき替えたのにまたおしっこしてる。よく出るもんだ。

 ミルクを40ml作って、そのうち10mlを捨てて、30mlを飲ませろと看護婦にさっき言われたので、その通りにしてたら、隣りで見てたママさんが、「そんなに細かくやるんでか?適当でいいのに。神経質になり過ぎて、育児ノイローゼにならないでくださいね」と冷たい視線で言う。悪気はないのだろうが、余計なお世話じゃ。カチンと来た。適当も何も、これしかやり方しらんのじゃー、ボケ!!ほっとけ。勿論、顔はにこやかに「はぁ、どーもー」と言っといたが。

 この授乳の後は、びくさん、凄くよく寝てくれたので、私も爆睡。そしたら何と、同室の人がその間に退院しちゃった。後で、他の人に「マブチさ〜んって何度も呼んだのに起きないから、よろしくって言ってたよ」と言われた。てへ。恥ずかし〜。これじゃ、びくさん泣いても気づかないかも。ヤバイ。

 今日はそんな感じで、授乳とおむつ替えに四苦八苦。一度はうんちぴょーって掛けられて、パジャマをうんちまみれにしたし。でも結構楽しいぞ。まだ始めたばかりだからね。他のママ達に聞くと、一日目だけ、後は寝不足でツライだけだそうな…。むむむ。

 あ、びくさん、今日は初めて目を開けてくれた。じっと見つめられて、感激したよぉ。かわいい…、松浦亜弥よりずっとかわいい。

 たけぞうさんが名前を決めてくれた。良かったね、智彦くん。今日から君は智彦くんだよ。

 さあ、夜中の授乳に備えて、ちょっと寝よ。

2月15日(金)

 自分の体について気が付いたこと。痔になっている…。肛門の一部がどうも出てるらしい。これは仕方ない。二段腹になってる。これは妊娠のせいなのか、はたまた、その前からなのか、もう思い出せない。前者であってほしいのだけど。なんか、ホントにボヨボヨという感じなのだ。これ、どうやったら戻るんだろ?甚だ不安。

 今朝の1時、4時の授乳の後は、智はよく寝てくれたので、私も結構(それぞれ1時間半くらいずつ)眠れた。私の爆睡ぶりは、部屋のママ達の間で、ちょっとした話題。声掛けても起きないって(笑)。お蔭で、今日はまだ元気。眠いけど。これが2,3日でゾンビのような顔になるらしい。

 今日は沐浴の練習をした。服を脱がせたら大泣き。で、体重計に載せた途端に、おしっこを高々と撒き散らし、辺りをびしょびしょにしてくれた。早々笑い者になってるよ。私はパジャマがおしっこでびしょびしょだし、皆に謝りまくりで散々。先々が思いやられる。

 それにしても乳が張って痛いので、看護婦さんに言うと、マッサージをしてくれた。が、これが脂汗が出るほど痛くて陣痛並みだった。子供を産んでからも痛いなんてヒドイと思った。

 面会時間に母が来たが、爆睡中で気付かず。しかも30分近く。気づくと彼女はビデオを撮っていた。その後、ビデオやら写真やら、孫を膝に抱いての撮影会。ははは、そんなもんです。

 それにしても、やっぱり忙しいもんですね、子育て。これ、まだ家事をしなくていいから楽なんだけど、御飯作ったり洗濯したり掃除したりなんて、いつすんの?それしてたら、いつ寝んの?って感じで、つくづく世の中のお母さん達って偉いと思った。

 ああ、病院は同じ状況のママ達がいっぱいいて授乳室とかお部屋とかでおしゃべりができるのがとても楽しい。みんな頑張ってるから、私も頑張ろうって気になるね。やっぱ個室にしなくて良かったよー。さあ、また夜中の授乳に備えて寝よう。どうか智がそれまで起きませんように…。こいつ、昼間はよく寝るのに夜は起きてるから…。面会時間過ぎると目を開けるんだよ。少しは、ばあちゃん孝行してくれてもよさそうなもんなのに。ま、そのうち少しずつ目を開けてる時間も長くなるよね。

2月16日(土)

 相変わらず切開の傷が痛くてツライ。しかも、今日は乳が張って大層痛い。やたら頻繁に手を消毒するせいか、ハンパない手荒れ。ってゆうか、あかぎれ。これも泣きたくなるくらい痛い。しかも見た目も哀れ。普段手荒れなんて縁ないのに(家事してないからだろというツッコミはなしで…)。なんかもう、痛いとこだらけだ。

 夜中の授乳で殆ど寝てないし、大変なことばっかり。

 それでも子供はかわいい。ホントはいけないんだけど、夜泣く時に乳の出ない乳首をくわえさせると、ちゅっちゅっと一生懸命吸う。でも出ないから、すぐに疲れるんだろうね。そのまま寝てしまったりして、そういうのを見るにつけても、ああ自分の子供って、なんて愛しいんだろうって思う。たまにしか開けない目を(しかも半目だったりする。笑)、一生懸命開いてこっちをじっと見たりすると、もうたまらないんだなぁ。あ、この子の目を開けたところを見たことがあるのは、実はまだ私だけだ。見に来た人がみんな口を揃えて「寝てばかりだねぇ、目開けないかな」と言うけど、へへへ、私は見たことがあるんだよー、とちょっと優越感に浸ったりしてね。

 そうそう、今日は実に多くの人が来てくれた。たけぞうさんのママ&妹さん&タクシーの運転手さんの岩本さん、私の妹夫婦、あと高校時代の友人。みんなそれぞれおいしいものをいっぱい持ってきてくれて嬉しかったんだけど、なんとウチの部屋は今日から一人なのだ。みんな退院しちゃったから。スゴク寂しいんだよう。で、隣りの部屋とか、そのまた隣りの部屋とかへ行って、色々おすそ分け。みんな授乳室で一緒になっておしゃべりする仲間なのだ。ママさんが持ってきてくださったフルーツとかも、夜中の授乳時間に授乳室に持っていってみんなで食べたりして。だって、夜も殆ど起きてるから、ホントお腹空くんだよ。夜食とかも出るんだけど、そんな調子で食べてばかりいたら、出産後4キロくらい減った体重が、また1キロ増えていた。つまり、妊娠前よりまだ+5キロ!恐ろしいこと。ヤバイ。が、そのうち乳が出るようになれば痩せられると信じて、見なかったことにしよ。

 ここの食事は、相変わらずおいしい。しかも出産後は、朝、バイキングとかもあるの。これがまた楽しい。退院の日はフルコースも出るんだよ!超楽しみ。

 でも、今日、会計の人が概算を持ってきた。56万。高いなぁ。出産費用の平均って、40万くらいなのだと思うけど、ここは高い。でも、NICU(新生児のICU)もあって、早産とか帝王切開とかの率が少ないのも売りにしていて、結構評判の良い病院なんだ。雅子さんの出産で一躍脚光を浴びたLDRなんかもあるし、施設が充実してるから、まぁ仕方ないかな。

 たけぞうさんに早速電話でそれを報告したら、一言、「高いなぁ、痛いなぁ56万は」。思わず「すいません」と言ってしまったが、私だって苦しい、痛い思いしたんだよ。こっちの傷の方が痛いっつーの!まぁ、そのうち頑張って働くから、許してください。

 今日来た友人が、自分が自分の子供を作るということは、今は全く想像できない、恐れ多い気がして、なんていう話をしていた。彼は私より早くに結婚したけれど、まだ子供はいない。そういえば、随分昔からそんなことを言っていた気がする。そういう気持ちって分からなくない。でも、こうして子供を得て、しかも計画的にはなく、こういうことになって、うまく言えないけれども、子供を産んだり育てたりということは、とても重大なことだし、責任のあることだけれども、何かこう神聖なことなのではなく、どうにかこうにか、何とかしてゆくこと自体に、とても大きな意味があるのではないかなと、今はちょっと思う。自分はそれなりの人間である、だから、今なら子供を作ることができる、なんてことは一生思えないような気がする。ずっとずっと不完全で、ダメなことだらけでも、少しでも何がしかの者に近づいてゆくのに必要な試練なのかもしれず。勿論、私にとっては、ということだけれども。そんなことを少し考えた日でしたよ。

2月17日(日)

 今日もまたやってくれた。授乳室のベッドの上で!足を持ち上げてお尻を拭いていると、機関銃並みの勢いで、うんちを撒き散らしてベッドを汚してしまった。本人は涼しい顔、むしろ気持ち良さそうである(当然だ)。私は、また謝りまくる。周りのママ達、そして病院の助産婦さんやヘルパーさん達に。ちょっとした有名人になってるだろう、そろそろ。

 智は、なぜか、というか、まぁよく分かるのだが、おむつを替えた途端にうんちをする。おむつにする場合もあれば、替えてる最中にすることもある。男の子の場合、よくおしっこを飛ばすことは聞くけれど、うんちを飛ばすなんて!しかし、ホントによく飛ぶんだ。別に下痢じゃないから心配ないよと助産婦さんは言ってたから、いいけれども。

 夜7時頃、たけぞうさんがきてくれた時にも、見事な飛ばしっぷりだった。うんちを飛ばし、智のベッドと私の手をうんちまみれにし、それを片付けている最中に、今度は高々とおしっこを撒き散らした。たけぞうさんは笑ってるけどさ、これ家でやられてみな。たまんないよぉ…。

 ところで、たけぞうさん、今日初めて智を抱いた。忙しくて、智がここに来てからは来られなかったからね。なかなかサマになっているではないか!と思う。それにしても、たけぞうさんが抱くと、恐ろしく小さく見えることよ。猫でも抱いてるみたいだ。ハハハ。で、写真を撮ったりしてね。

 ちょうど授乳の時間だったから、その模様なども。まだ乳を吸う力がないので、搾乳したのを哺乳瓶であげるんだけど、これがなかなか面白い。“んぐんぐ”って音がする。たまに、息継ぎをしたりむせたりしながら一生懸命飲む。途中で疲れて寝ることもしばしば。そんな時は、げっぷをさせてみたり、おむつを替えたりして、一息入れる。また、飲んだのを忘れたように、んぐんぐ飲む。でも、本当に飲みたくない時は、物凄く固く口をつぐんで、唇を開くと歯のない歯茎がびっちり閉じられているのが見える。とっても強情なんだよね。きっと気が強い子になると思うなぁ。

 たけぞうさんは、智の目の開いたところを見た人、第2号になった。そして、その智が不思議そうな顔でたけぞうさんを見上げているところに、余計なことをたくさん吹き込んでいった。カルボナーラ、おろしひれかつ弁当、カルビetc。大方、今食べたいものを言ってるんだろうが、“カルビ”で智がニヤっと笑ったのには末恐ろしいものを感じた。ああ、この父子はどうなってしまうのか…。

 明日は退院。嬉しいやら、心配やら。

2月18日(月)

 今日は退院の日。退院の前日、夜10時の授乳の後で、子供を新生児室に預け、退院当日の午後、しかも会計を済ませるまで返してもらえない、というのがこの病院のシステム。新生児の体調等を1日見ることや、母親の休養の為なのだと思うのだけど、会計を済ませるまでの“人質”みたいだってみんな言ってる。本当に「取られる」って感じがして、離れるのが忍び難かった。しかも、珍しく10時の授乳では智が目を開いている。見てるんだもの。なんか涙が出そうになった。確かに、ゆっくり眠れるのは嬉しいけど、めちゃめちゃ寂しかった。

 明け方、4時半頃、乳が張って、あまりの痛さに目が覚めた。搾乳しに行ったら、溜まりに溜まっていたせいで、100mlも取れた。それまでは頑張っても40ml程度だったのに。

 とにかく今日は乳が張る。で、看護婦さんにマッサージをお願いしたら、これがまたスゴーク痛い。結構大柄の体格のいい人で、力もあるんだろうけれど、陣痛並みに痛くて(この前も書いたけど)、思わずラマーズ法で痛みを堪えたね(笑)。

 お昼、フルコース!ワイン付き!いいのか?授乳婦が酒なんて飲んで?と思いつつ、1杯だけ飲んじゃった。何ヶ月振りだ?おいしい〜。また暫く我慢だしなぁと、味わって飲んできた。お料理も本格的なフルコースでおいしかった。ステーキとか食べちゃったよ。ちょっとリッチな気分になった。ほっほっほ。でも、退院指導の時、高カロリー食は良くないとか言ってなかったか?なんか矛盾してないか?まぁおいしかったからいいけど。

 一人部屋になってしまった大部屋に戻って、一人寂しく歯を磨いていたら、智を取り上げてくれた先生が様子を見に来てくれた。退院ですねなどと話をちょっとした後に、「傷は痛いですか?」と聞かれたので、元気ににっこり「はい、痛いです」と答えておいた。いや、別に先生のせいじゃないです。ありがとうございました。

 母とたけぞうさんが迎えに来てくれたので、自分の準備をし、会計などを済ませ、智の洋服を持って新生児室に引き取りに行く。おお!我が子よ!再会を喜び、服を着替えさせ、顔馴染みになったヘルパーさんや明日以降に退院する同志達と別れを惜しみながら、めでたく退院。とにもかくにも、病院の皆様、お世話様でございました。

 あっという間の1週間、結構楽しい入院生活でした。

 本番はこれから、さあ頑張らなくっちゃ。

  鬼嫁入院日誌出産編 完

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