各所で波紋を呼んでいるバンドメンバー固定についてお話しておこうと思います。今まで(少なくとも私がこの学校に来てからだから5年間)このクラブでは曲毎にメンバーもパートも変えてやってきました。はじめはけっこう驚いたのですが、「まあそういうもんなんだろう」と考え、今までやってきたわけです。まだその頃は1年生はマーチングドラムのみ、バンドは2年生と3年生で人数もそんなに多くなかったのです。もちろん演奏のレベルも高くはありませんでした。ところがこのところ部員の数も増えてきました。ライブでやる曲数も増えてきました。演奏のレベルも高くなってきました。今まではマーチングドラム部が姿を変えての軽音楽部だったのが、いわゆるふつうの軽音楽部になってきたのです。こうなってくるとだんだんと状況も変わってきます。ある一定の演奏レベルをキープするには個人が同じパートを続ける必要があります。もちろん、個人の趣味としていろんな楽器をやってみるというのは否定しません。ですが、人に聞いてもらえる演奏をするだけのレベルを得るにはそれなりに一つの楽器に集中してほしいと思うのです。ステージに立つ以上は自己満足だけではなくて、聞いてくれる人を満足させることも考えないといけないですよね。
それから、パートが固定しないということは、自分で楽器を持たないということにつながります。どうしても学校の楽器を使って練習ということになります。学校にある楽器は限られていて、それを多くの人が使うことになります。自分の楽器ではないぶん、どうしても扱いが丁寧ではなくなったり、手入れもおろそかになります。事実、私は何回も楽器の扱いについて注意していますが、あまり改善が感じられません。手入れをみんながするようになったとしても、多くの人が一つの楽器を扱うということは楽器にそれだけ負担がかかることになります。楽器の痛み具合はかなりのものがあります。「じゃあ楽器を増やせばいいじゃないか」という話になるでしょうが、ではそれらの楽器の手入れは誰がやるのですか? 修理は誰がするのですか? 私にも限界があります。これからは自分達でちゃんと面倒をみるといっても、現実問題、それは不可能であると思います。自分の演奏する楽器に責任をもってもらうためにも、本当は自分の楽器を持つことが必要だし、共有するにしても人数はできるだけ少ないにこしたことはありません。5人で共有するギターよりも2人で共有するギターの方が愛着がわきませんか?
更にライブの時の機材トラブルも理由としてあげられます。曲の度にギターやベースの持ち替え、エフェクタの接続変え、アンプのON/OFFがあります。これらは全て機材トラブルのもとです。音が出ない、ノイズが出る、思ったような音が出ない、いずれも覚えがあるはずです。こういうトラブルを防ぐ一番の方法はできるだけセッティングを変えないということです。バンドがチェンジするのは仕方がない。でもそのバンドの中でパートチェンジするのはもう止めてほしいのです。私は演奏するあなたたちにも気持ちよく演奏してほしいし、聴いてくれるお客さんにも気持ちよく聴いてもらいたいと思っています。その為に機材の手入れだってするし、できるだけいい機材を購入するために楽器屋さんと交渉して安くしてもらったり出物を探したり、ライブの最中でも細かくセッティングをいじったりしています。それはあなたたちの為でもあるし、お客さんのためでもあります。でも私は一人しかいないし、トラブルシューティングばかりではいい方向へはもっていけません。少しでもいい演奏にするために不要なトラブルを起こすことは避けたいのです。
もう一つ。敢えてパートをできるだけ固定して、バンドを固定しようとするのは、やはりバンド感を出してほしいからです。バンド名があるところも(私の知る限り)なかったようだし、そのバンドの個性も見えないし、バンドが一体になって楽しんでいるという雰囲気もなかなか感じられない。3年生になってようやく、というところでしょうか。
これじゃあバンドをやっている楽しさの半分もわかってないんですよ。本当に。好きな曲を演奏する楽しさがバンドの楽しさの全てじゃないんです。このバンドでやる楽しさ、このドラム、このベース、このシンセ、このギターだから演奏してて楽しいんだという瞬間が続けていれば必ずあります。それじゃあなかったら誰とやったって同じです。でも同じ曲を演奏しても一人一人違うわけで、その違いが感じられて「やっぱりうちのメンバーと演奏すると楽しいな」と思うようになるんです。この楽しさを味わっていますか? たぶん半分も味わえていないと思う。もっともっとバンドで演奏して下さい。自分のバンドでしか出せない雰囲気を出せるようになってほしい。それは高校生だろうと、まだ楽器を始めてすぐだろうと関係ないと思います。パート固定して、バンド固めて続けてればきっとどこかで突き抜ける所があるはず。
うちのバンド、ナインハーフは結成10年です。更に言えば、ドラムの保立とはバンドだけで15年の付き合いです。ただ音楽が好き、ギターが好きというだけだったら、なかなか練習もできないようなバンドをこんなにも続けません。でも、たとえたまにでもメンバーと音が出せるのがものすごく快感だから、単に気持ちがいいから続けているようなものです。もっとあなたたちにもバンドの楽しさを味わってほしい。
長々と連ねましたが、私としてはよかれと思って、このパート固定・バンド固定を提案しました。固定してしまうことで、やりたい楽器ができなくなる人もいるかもしれないし、またバンド内のもめごとで解散ということになって演奏の機会を失ってしまうという危険性もあるかもしれない。それでも、結果的に軽音楽部全体がレベルアップして、お客さんをいっぱい集めて演奏ができて、演奏するほうも聴くほうも楽しくなれるためにはこれが必要だと思うのです。