14・PA復習

 予習も大事だが、知識を定着させるのには復習が大事。仕込みの日も当日も慌ただしくて何の説明もできなかったんで、ちょっと復習しておこう。

 PAとはなんぞやとか、PAの仕組みなんていうのは以前配布した冊子を読んでもらうとして、今回のPAがどういう仕組みになっていたかをおさらいしよう。

 まずステージ上にはボーカルマイクが2本セットしてあった。メインボーカル用が1chサブボーカルが2chとしてある。3chはミキサ用のマイクにしてあって、ミキサがステージ上と話をしたり、サウンドチェックするためにミキサ横に置いてある。いざという時には予備のマイクとして使用する。4chのマイクはスネアドラム横にセットした。スネアの音とハイハットの音を拾えるようになっている。5chはバスドラムにセットした。バスドラムは「キック」と呼ばれることが多い。覚えておこう。6chはドラムセットの上にぶら下げるようにセットした。これはシンバルやタムタムの音を拾うためのもので、「オーバーヘッド」と呼ぶ。ここまで都合6本のマイクを使用している。それほど大きくない会場で、なおかつミキサのチャンネル数も多くないときはまずはボーカルを優先する。そしてキーボードの入力チャンネルを確保残りをドラムに使ってやるというのが原則。ドラムはキック、スネア、オーバーヘッドの順で優先する。絶対に聞こえないと困るものを優先してやるわけだ。とにかく今後は「キックのマイクを動かして」とか「オーバーヘッドをちょっと右にずらして」と言われても反応できるように覚えちゃって下さい。

 これらのマイクは全てステージ上に置いたマルチボックスにつなぎます。1chに設定したマイクはボックスの1chにというように、チャンネルに対応したところにつないでやります。

 さて、ステージからミキサに送るのはマイクだけではありません。キーボードからも送ります。キーボードはそのままでもいいのですが、「ダイレクト・ボックス(DIと呼ぶ)」のインプットにまずはつないで、DIのアウトプットからマルチボックスにつなぎます。DIは「インピーダンスを変える」役割をもっているのですが、説明するとややこしいことになるので、「DIにつなぐとノイズが減り、音質も悪くならない」と考えてくれればいいです。キーボードは今回2本使いました。それぞれ7chと8chに設定しました。

 以上がステージからミキサへの入力です。ステージ上からは全てマルチボックスに集められます。そして集められた音声信号はマルチケーブルを通ってミキサへと送られます。マルチケーブルのミキサ側にもマルチボックスがつながっています。そこからミキサへつながるわけです。

 ミキサに送られた音声信号はエフェクタ(これでリバーブをかけます)やグラフィックイコライザ(音質を調整したり、ハウリングを起こす音域をカットする)を通って出力されます。出力は2系統あります。一つはメインの出力もう一つはモニタ出力です。メインの出力はお客さんに聞こえる音なので、入力されたすべての音が調整されて出力されます。モニタ出力はステージ上の演奏者に聞こえる音なので、演奏に必要な音のみ出力されます。プロのステージでは各パート毎にモニタできる音が調整できますが、うちの学校でやる程度では、全て共通です。

 ミキサからグライコを通って出力された音声信号はミキサ側のマルチボックスにつながれます。今回は14chにモニタ出力を、15chにメインのL(左スピーカ用)16chにメインのR(右スピーカ用)をつなぎました。今度は入力とは逆にミキサ側のマルチボックスからマルチケーブルを通って、ステージ上のマルチボックスに送られます。

 ステージ上のマルチボックスから各出力はパワーアンプに送られます。メインとモニタとは別々のパワーアンプを使います。小さいステージと、広い客席が同じ音量になったら大変なことですから、違うアンプを使ってやるのです。

 パワーアンプで増幅された音声信号はそれぞれメインスピーカ(客席に向けてあったもの)、モニタスピーカ(ステージ脇に置いてあったもの)へと送られます。これでマイクやキーボードの音がスピーカから出ます。

 この音声信号の流れというのは大きなアリーナクラスの会場のPAでも、小さなライブハウスのPAでも、うちの体育館のPAでも基本的には同じです。ミキサのチャンネルの数や、スピーカの数なんかが違ってくるだけの話です。(実際はもっと複雑なんだけどもね)

 演奏者は自分の楽器のことがわかればいいとも言えるんだけど、特にバンドなんかはPAに頼るところが大きいので、最低限のPAの仕組みは知っているべきだと思う。自分が演奏中にトラブった時、他のバンドがトラブった時にどこがまずいのか判断できる知識を持っているかどうかは大事なんじゃないだろうか。来年も私が顧問とは限らないし、なんにも知らない先生が顧問になったら、PAやるのは君達の中の誰かなんだということを忘れずに。