学園祭シーズンが近づくと音楽雑誌の広告に「PAレンタル」なんて言葉がよく見られるようになる。このPAというのは何だろうか?PAというのは略称で、Public Addressのことです。いわゆるPAと言ったときには、正確にはPublic Address Systemなので、PAシステムと呼ぶことになりますが、一般にPAシステムのことを「PA」と読んでいることが多いようです。で、じゃあPAとは何なのだということですが、簡単に言ってしまえば、「演奏される楽器の音を客や演奏者に聴きやすいようにバランスを取ったり、音量を変えたりする装置全て」です。コンサートやライブに行くと、客席の中央辺りにたくさんつまみやらスライダーやらがついた大きな機械があると思います。あれもPAの一部で「ミキサー」と呼ばれるものです。また、ステージの横などにいくつもスピーカが積んであったりします。あれもPAの一部でメインスピーカと言います。また、ミュージシャンの足元に転がっているスピーカ、これもPAの一部で、モニタスピーカと言います。あげていけばきりがなく、マイクやシールドもPAの一部です。これら多くの機材のシステムをまとめてPAと読んでいます。
PAの仕組みを簡単に説明すると、
まず楽器の音をミキサーに持ってきます。マイクを使うこともあれば、DI(ダイレクトボックス)という変換機を間に入れて、直接楽器から音を録ることもあります。ただ、狭い場所ならシールドが何本もステージからミキサーまでつながっていても大丈夫ですが、広い場所ではシールドの始末が大変です。そこで、何本ものシールドを一本の太いシールドにまとめたもの(マルチケーブル)を使います。ステージ上でマイクなどにつながっているシールドを一度マルチケーブルにつないでやります。ミキサーまではマルチケーブル一本がつながることになります。そしてミキサーのすぐ手前で、マルチケーブルから普通のシールドにまたつなぎかえてミキサーに接続します。
ミキサーは各楽器(もしくはボーカル)の音量や音質、エフェクターのかけ具合、定位(右、左、どちらに寄って聞こえるか)をばらばらに調節できます。ミキサーの規格はチャンネル(ch)で表します。例えば8chのミキサーといえば、マイクが8本つなげて、それぞれ調節できますよということです。8chだったら、1chにリードボーカルを、2chにコーラスを、3chにバスドラムを、4chにスネアを、5chにベースを、6chにギター、7chにもう一本のギター、8chにキーボードなんていうふうにつなぐことができるわけです。実際にはもっと複雑なつなぎ方になりますが。
そしてミキサーで調整された音はミキサーからパワーアンプを通ってメインスピーカから出力されます。また、演奏者にもパワーアンプを通してモニタースピーカから出力されます。メインスピーカからは客に聴きやすい音を、モニターからは演奏者が弾きやすい音を返してやります。(たとえば、ギタリストだったら、自分の音はアンプからよく聴こえているからドラムとベースの音だけ返してやる、とかね)
基本的にはたったこれだけのものですが、実際には他にエフェクターをかけたり、ハウリング(スピーカとマイクが近いと「キーン」とかいうやつ)を防ぐ処理をしたりとややこしいものです。ただ、ライブをやる以上はPAを避けて通れないわけで、アマチュアの場合は自分達でPAのセッティング(仕込みなんていうと通ですか?)や調整をしなければなりません。PAがどういう仕組みになっているのか、どこをどういじるとどういう結果になるのか、最低限の知識は必要です。たとえPAを自分で触ることがなくても、PAの知識はミュージシャンには必須です。
よくステージ上で演奏中にアンプのボリュームをいじったり、リハと本番でセッティングを変えてしまう人がいます。こんなのはPAの側から言えば大迷惑です。せっかくバランスよく調整したのに、またやりなおさなくてはなりません。こんなのもPAの知識が少しでもあれば、PAにわざわざ迷惑のかかることはしないでしょう。リハーサルではかまいませんが、本番では演奏者が勝手にアンプのボリュームをいじるというのは基本的に御法度です。ステージ上で自分の音量が大きく聞こえても、客席にはちゃんとミキサーで調整されて出力されているのです。もし勝手に音量を下げたらミキサーはその分あげてやらなくてはなりません。調整できないほど変えられてしまったらお手上げです。ステージ上ではミキサーを信じて自分では勝手に楽器をいじらないことです。
話はそれましたが、PAについてはおおよその仕組みだけでも理解しておいてほしいところです。外部のスタジオを使うとき、桜華祭のとき、PAを使わないわけにはいかないからです。
後日、ローランドという楽器メーカが作ったPAについての小冊子を配る予定です。人数分そろうかどうかわかりませんが、配ったら必ず読んでみてください。